オークの森」づくりに向け、ドングリ拾いのボランティアを募集しております。
池田町農林課までお届けください。
ドングリは水に浸して選別し、様舞の苗畑に播種し、
3年後、30cm程に育った苗を町有林に植林します

1999/10/15

 池田町の町づくりのシンボルとしての十勝ワイン、ワインブームで売れ行き好調ですが、ワインづくりに欠かせないのが樽です。おいしいワインづくりの条件は、気候・土壌・ブドウそして樽が重要な役割を果たします。ワインは樽のなかで、乳酸菌の力を借りリンゴ酸を乳酸に変え、マイルドなワインとなります。更に、木目を通じてワインに含まれる若い香りや炭酸ガスが蒸発し、反面木目を通じて空気中の酸素が緩やかに溶け込む穏やかな酸化によって、また、樽から抽出されるタンニンやリグニン、バニリン等で、甘味や渋味などワインの幅が増します。こうして新しいワインの荒々しさが取り除かれ、複雑な芳香で、穏やかで、柔らかい味に変化します。いま健康ブームの引き金となっている機能性物質のポリフェノール類も樽のなかで熟成中に増加することが、池田町ブドウ・ブドウ酒研究所と帯広畜産大学の研究で解ってまいりました。ミズナラの樽の中では、良いことずくめの素晴らしいドラマが展開されているのです。
 十勝ワインの樽材は世界で最も上質と言われるフレンチオークを使用しておりますが、かって十勝にもヨーロッパへ輸出したナラ材がありました。明治林業逸史によると、 「明治39年英国よりの注文で日本のナラを樽材として輸出を試みたのが明治39年である。この樽材はナラの割取り柾目材でなくてはならぬ条件であるが、北海道のナラは大木であるため、割材として適当であった。それ以来、多少ずつ輸出し、またベルギー・フランス・ドイツ方面へも再輸出されて、ブドー酒樽・ビール樽として用いられたが、日本のナラの材質はスラボニアオークより少し劣る点を発見され、ブドウ酒樽としては余り好評でなく、後に油樽に利用されたが、売値と生産費とが合わないので、遂に明治44年頃よりステープルの輸出は途絶した」とあります。
 池田町がワインをつくることになった36年前、まわりにミズナラの姿も樽職人もなくフレンチオークを使ってのワインづくりとなっていましたが、1993年、十勝産の120年生のミズナラ原木を銘木市から探しだし、11本10立方メートルの原木を購入しました。製材後、3年間ワイン城近くの戸外で風雨にさらし乾燥させ、1996年、ワイン樽に加工するため貨物船に揺られフランスのコニャック地方のワイン樽製造会社ビカール社に送りました。「樽材としては非常に良い。樽も良く出来た」と樽職人の評価を得て、一九九八年、組立完成品として再び十勝に戻りました。3500リットルが2個、480リットルが2個で、240リットルが1個でワインの倉庫に十勝ワインを満たし、ワインの熟成を静かに待っております。まだ味を比較するまでには至っておりませんが、あと二年後、十勝のミズナラの樽で熟成された十勝ワインの味に夢が膨らみます。
 俄学者からすると、町木のカシワはナラ類のひとつで、清見ヶ丘公園には、ナラ類のミズナラ・コナラ・カシワナラ・カシワが混在しており、ナラ類は自家受粉しづらく雑種をつくりやすい性格で、それぞれの雑種も混在していると思われます。ナラ類の利用でまず思いつくのは枕木です。「北海道保線のあゆみ」によると、ナラ類は北海道では第1種(高品質)の枕木にランクされ、第2種で防腐材を注入しなければ使用できない樹種とは区別され、評価が高く、耐用年数6.6年、延命年数19.8年でありました。1967年以降のナラ類の利用は途絶えて、北海道の枕木は防腐剤を注入した外材が主なもとなってしまいました。日本ではオークが樫と訳され、オークが樫と間違えられ樫は堅すぎてイギリスのオーク家具のような物はできないと思われ、すごく高い値で輸入されていました。また、北海道のナラ類を見たヨーロッパ人はこれこそ良質なオークだと思い、日本人はつまらない雑木が金になれば大喜びだと思いました。両者の思いが合致し、1970年代まで日本のナラ材が格安で輸出し続けられてきました。今では欅と並んで家具をつくる良品質で重要な材料となっていますが、山には用材になるような太いナラ類はもうほとんどなく、木炭をつくるような細いミズナラしか残っていません。ミズナラは上等の木炭をつくりますが、そのなかでも備長炭は、火が付きづらいのですが、一旦着火すると強力で持続性があり遠赤外線を発し、肉を芯から焼き上げ焼き肉を美味しく仕上げます。8時間かけて焼き上げる池田町特許の「牛の丸焼き」は、備長炭でなければ焼くことができません。和歌山県で備長炭作りを学び、十勝備長炭を焼いている人が池田町におりまして、お茶炭・冷蔵庫用消臭材・水のカルキ飛ばし剤等の高付加価値商品を開発しました。
  「オークの森」を100年かけて育てよう。失われたみどりを再生し、森林文化を大切にする町づくりを。すでに二年前から、シニア大学の園芸グループの方々に拾っていただいたドングリをブドウ・ブドウ酒研究所の苗畑で三千本のミズナラの苗を育成中です。順調に生育しており、植樹に備え活着をよくするための根切りをすでに済ませております。来春には山間にあるブドウ園の隣にある町有林1ヘクタールで、第1回目の植樹を行うことになっています。1999年からは、100年の森構想達成のため、ブドウの耐寒性新品種「清舞」の父となった山ブドウ(アムレンシス種)を発見した様舞地区の町有地に緑化木用の苗畑を造成し、ブナ・キハダ・カツラなどの広葉樹の育成を始めます。今後、池田町内の街路や公園緑化の苗木は、この苗畑から供給される予定です。その苗畑の中に、毎年ドングリを植え、ミズナラの苗3000本を育成するスペースも確保しております。小さい子ども達も高齢者も、ドングリを拾える人ならだれでも「オーク森」づくりに参加できます。高度経済成長期に植えたカラマツ林を「針広混交林」に変えていく夢と、この大地に再び「オークの森」をつくる夢を、池田町民の「緑のロマン」として21世紀を迎えたいと思います。

清見ヶ丘公園のオーク  樹齢350年 育成中のオークの苗  1999/5/29


100年の森